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8.新潮新書 「宝石の裏側」の間違い

 2006年12月20日発行の新潮新書「宝石の裏側」が業界で問題になっています。広告や本の帯に書かれている惹句が刺激的な表現で、宝石業界はインチキばかりという感じを持たせています。

 実際に読んでみて、不正を許さない、情報公開を進めるべきだとの著者の姿勢には好感を持ちましたが、記述の一部には、きちんと資料にあたっていないで書いた部分が数多く見られます。読者を惹きつけて本を買わせるためにいい加減なことを書くと、良いことも随分多く書かれているのですが、その信憑性も疑われてしまい残念なことです。

 特に宝石に施された処理については、1994年6月以前の資料を基にしているのか、業界は情報開示が足りないと憤慨されておりますが、現在では鑑別書にきちんと表記されています。

 ただ、高額なジュエリーを鑑別書も付けないで販売している業者が存在することも事実です。また、宝石鑑別団体協議会(AGL)に加盟していない鑑別業者のほとんどは現代の精巧な宝石処理について鑑別できる機器もノウハウも持っていないため、処理についてのきちんとしたコメントを表記しないまま鑑別書を発行している実態があります。

 消費者としては宝石・貴金属について、処理の有無を含め、きちんと説明してくれ、高額品にはコメント表記のある鑑別書を付けてくれる業者を選ばなくてはならないと思います。同時に消費者は鑑別書や鑑定書が付いているからといって安心するのではなく、中に書かれている表記についてもよく読んで、分からなければ販売店に質問してください。

 私たちは活字になったものは正しいと信じる傾向が強く、新書は週刊誌や月刊誌と違って長期間にわたって販売されるため、間違った記述が正しいと信じられては困りますので、新潮社と著者には第2版では修正をお願いしたいと思います。

 以下に間違っている部分の見出しと本文(水色)、それに対する解説(白色)を掲載しました

ティファニーの原価は三百円!!
p14-p18
 ティファニーのオープンハート・ペンダントが店頭で買えば2万円はします……銀地金に換算すればわずか数十円……加工料込みでも原価はせいぜい3百円なのです。

 原材料費の銀(純度925/1000)は、この本の発行日の価格で1g当たり50円位です。ペンダントの重さも1gではないので、数十円ではありません。

 著者はジュエリーを実際に製作されているということですのでお分かりでしょうが、出来上がり重量の何倍もの銀を使って作るわけで、専門用語で言うところの「押しがね」「落ちがね」がいります。それらは精製にまわされますが、銀は精製回収の費用の率が金よりも高いため、材料費は更に高くなります。

 また、加工代は、安物のアクセサリー程度の仕上げなら200円ということはあるかも知れません(アクセサリー業者さん、もっと高かったらごめんなさい)が、細部にわたってきちんと仕上げた場合、ずっと高くなります。ティファニーの研磨技術など、どのようにやっているかと想像すらできないほどの仕上げの良さで、いくら銀だといってもここまで手間ひまをかけ、最先端の技術で研磨しているのかと感心させられます。

 「仮にコピー商品を作ろうとした場合」という前提を付けて逃げを売っていますが、加工料込みで300円という書き方は悪意に満ちていると言われても反論できないのではないでしょうか?

無色透明が至上なのか
p31-p34
 透明度は肉眼で不純物を見つけることのできないVVS1クラス……艶や照りという真に美しさに影響を及ぼす要素を、基準がないという理由で無視した鑑定が、果たして科学的、客観的と呼べるでしょうか。……4Cを唯一の価値基準のように喧伝してきた結果、消費者に偏った価値観を植えつけてしまいました。ダイヤは無色透明(カラーレス)で結晶純度が高い物ほどいいと。……カラーダイヤだからといってカラーレスより価値が低いなどということはありません。

 透明度(クラリティ)についての記述は単純ミスだと思いますが、クラリティは10倍ルーペまたは顕微鏡で見て判断します。肉眼で見てインクルージョン(内包物、著者の言う不純物)が分かるのはI1以下の低いクラスです。VS1以上ですと10倍ルーペで業者が見ても、なかなか判別できるものではありません。

 煌めき(シンチレーションやディスパーション)についてはダイヤモンド・スパークやIsee2などという計測器がでていますが、著者が主張する艶や照り(きわめて感覚的な表現なので何のことを指しているのかよく分かりませんが)は、現在までのところ、機械で計測することはできません。人間の眼で見る官能検査でしかできません。それこそ「科学的、客観的」と呼べるのでしょうか。

 かつて日本でも「4Cグレーディングでは正しい鑑定ができない、目で見た綺麗さでグレーディングすべきだ」と主張した有力な業者がいました。そこで社団法人日本ジュエリー協会(JJA)では、彼が選んだサンプルダイヤと比較するためのダイヤを鑑定結果を隠したまま並べて、多くのダイヤモンド業者が優劣を付けたところ、95%までは4Cグレード通りでした。

 この結果から言えることは、4Cグレーディングは100%正確な基準とは言えないものの、ほとんど正しく説明できているし、現在までのところ、これに代わる評価基準はないということです。
ダイヤの4Cグレーディングのうちのカラーグレーディングは、無色から黄色、褐色までをDからZまでの記号にして等級づけています。

 Z以下の濃い黄色や濃い褐色については、Fancy Light Yellow (Brown)、Fancy Yellow (Brown)、Fancy Intence Yellow (Brown)、Facncy Vivid Yellow (Brown)などという評価で鑑定書(グレーディングレポート)にもきちんと表示され、黄色(褐色)が濃くなり鮮やかさを増すにしたがって価値が上がっていきます。

 また、天然のブルーダイヤモンドなどは、ほんの少しブルーに見えるかなという程度であっても、Dカラーよりずっと高く評価されています。これらのことは業界では常識です。

 ただ、綺麗なカラーダイヤモンドの生産量がホワイト系のダイヤと較べて非常に少なく高額なので、店頭でなかなか見ることができないだけです。

 ホワイトダイヤの方がカラーダイヤより優れているなどと思っている業者はいません。現に、ブラウンダイヤを積極的に販売しているジュエリーメーカーもありますし、カラーダイヤ専門に販売している宝石店もあります。

 ダイヤモンドはカラーが良いだけで綺麗なのではありません。カットもクラリティも良くなければ輝きません。4Cグレーディングは、それらを総合的に評価しているシステムなのです。

 著者はダイヤモンドグレーディングについてあまり詳しく知らないのではないかと思います。もう少しきちんと調べてから執筆して欲しいものです。

整形だらけの宝石  人類の英知
p36-p39
 ダイヤモンドも……ルビーも実は整形美人なのです。……宝石は、厳格に判定すればすでに職人の手によってカットや研磨が施された「整形美人」なのです。

 何とも言いようのない見出しです。本を売らんかなという意図が見え見えです。

 古代遺跡の出土品からも装飾用の宝石が発見されますが、すべて研磨されたものです。現代になってから突然研磨が始まったわけではありません。著者がp53で書いている通り、「玉磨かざれば光なし」という諺もあるように、宝石は磨かなければ光りません。この記述と磨くことまで整形と呼ぶという記述とは矛盾しています。煽情的な記述を先にして、最後になって弁解のように、研磨が「人類の英知」と呼べるという書き方はおかしいと思います。

 JJAとAGLが共同で作った宝石の定義では「天然石とは、人的手段を介さずに自然界で生成された宝石物質であって、カット、研磨以外の人的手段が加えられていないもの、および生成後に色、外観の処理がなされたもの」のことなのです。

鑑別書でも分からない
p41-p43
 天然石かどうかは鑑別書で分かりますが、色処理を施しているかどうかは鑑別書を見ても分からない場合が多いのです。……きちんとした鑑別機関に色処理について調べてもらえば、「ナチュラル」「エンハンスメント」「トリートメント」などと判定してもらえます。……こうした色処理については、購入者から求められなければわざわざ鑑別はしません。

 大いなる誤解です。発行されている鑑別書のほとんどを占めるAGLメンバーの鑑別会社には、宝石に施されている処理について鑑別書に記載することが義務づけられています。

 1994年6月からは「エンハンスメント(改善)」「トリートメント(処理)」と表記していましたが、2004年9月以降はもっと具体的に「加熱」「表面拡散」「放射線照射」などと表記されています。

 高額のジュエリーには必ずと言っていいほど鑑別書が添付されています。そこには色処理ばかりでなく宝石に対して何らかの処理がされているならば必ず処理の内容が記載されています。

ダイヤモンドは放射線照射で
p43-46
 色処理はおもに放射線照射によってなされ、色のあまりよくないダイヤモンドは放射線照射で見事に変身を遂げます。……薄汚れた茶色のダイヤをレーザーで色抜きしたり、……ダイヤ内部の不純物をレーザー処理で取ってしまうような営利目的で行われる粉飾は容認するべきではありません。……業界は情報をオープンにしたほうがいいのです。

 著者の勘違いか知識不足だと思います。

 この記述だと販売されているダイヤのほとんどが色処理されているかのように読者に受け取られてしまいますが、処理されているダイヤはごく僅かしかありません。また、色処理の行われているダイヤのほとんどは高圧高温(HPHT)処理によるものです。放射線照射の行われたダイヤは無色にはなりません。有色ダイヤのごく一部です。緑色をしたダイヤなどは「アップルカラー・ダイヤモンド」として色処理を前面に押し出して広告しているほどです。また、レーザー処理はダイヤ全体の色を変えるために行われるのではなく、カーボンスポットのような黒色のインクルージョン(内包物)を目立たない白色にするために行われます。レーザー処理を行ってもクラリティグレードは変わりませんし、ましてカラーグレードも変わりませんので、当然のことながら価格も変わりません。

 これらの処理が行われている場合は鑑別書や鑑定書には必ず記載されています。高圧高温処理の場合は「色の変化を目的とした高温高圧プロセスが行われています」、放射線照射の場合は「色の変化を目的とした人為的な照射処理が行われています」、レーザー処理の場合は「透明度の改善を目的としたレーザードリリング(またはレーザープロセス)が行われています」というコメントが鑑別書や鑑定書に記載されます。
 なお、レーザードリリングされたダイヤについては、国内では現在ほとんど流通していません。

真珠の色は黄土色
p47-p49
 真珠の色が何色か……答えは「黄土色」です。……真珠の中で最高級品として認められているのが「真円真珠」、通称"花珠"です。……真珠の色処理……問題は処理を施した事実が鑑別書に記載されていないことでしょう。

真円真珠イコール花珠(はなだま)ではありません。真円真珠は半円真珠(半形真珠。マベパールがその代表です) の反対語として付けられた名前です。

 養殖真珠技法発明の当初はマベパールのように貝に直接付いた殻付き半円真珠に対して、殻から離れて真珠の表面全体が真珠層で覆われている真珠(遊離真珠)を指していましたので、正球形でなくバロックパールのような変形真珠も含まれましたが、現在ではラウンド、セミラウンドの球形の真珠のことを、一般に真円真珠と呼んでいます。

 いずれにしても真円真珠は真珠の形状を指すもので、品質を表す言葉ではありません。
花珠とは本来、浜揚げ珠(養殖を終えて貝から収穫したままの状態の真珠)の内の最高級品に対して付けられた呼び名ですが、現在では調色済みの非常に稀少で価値の高い真珠が、真珠輸出組合の花珠入札会で取引されています。

 近年では巻き(真珠層)の厚さ、照り(真珠光沢)の良さ、キズの程度、形状等が優れたアコヤ真珠に「花珠鑑別書」が発行されるようになりました。ただ、宝石鑑別団体協議会(AGL)加盟の鑑別会社では発行していませんし、鑑別会社により基準がまちまちですので、優良品に対する一つの目安と考えておいたほうが良いでしょう。

 伊勢の観光土産店では真珠製品を販売していますが、そこにはアコヤ貝の標本額も売られています。それを見ると分かるのですが、貝の内側の色はブルー、ホワイト、シルバー、グレー、ピンク、イエローと様々な色が混じり合っています。これが真珠の色なのです。著者の言われるような黄土色もありますが、採取された真珠すべてが黄土色だけをしているわけではありません。普通は様々な色が混じり合って複雑な色合いを出しています。それに真珠特有の真珠光沢が加わっています。

 真珠の浜揚げの時に黄色く見えるのは真珠層を形成するコンキオリンのせいです。コンキオリンに含まれる色素によって色が決まるのです。炭酸カルシウムとコンキオリンの薄い層が何重にも形成されたのが真珠なのです。色素は貝によって違っていて、アコヤガイやシロチョウガイには黄色色素が含まれています。黄色色素が少ない貝からはきれいな白色の真珠が採れるし、黄色色素が多い貝からは黄金色の真珠が採れます。

 真珠の色処理も、現在発行されている鑑別書や鑑定書には必ず記載されています。どうも著者は現在の鑑別書を見ていないのではないでしょうか。

 染色や放射線照射でブラックやブルー、イエローにした場合は「着色処理が行われています」と表記されます。
調色の場合は「潜在的に有する美しさを引き出す真珠特有の加工が行われています」というコメントが表記されています。

 あまりにピンク色が強い真珠は避けるべきです。かつて「ピンク色の真珠が最高」という噂が広まり、こぞってピンク色の真珠を買われましたが、これはほとんど染色によるものです。時間の経過とともにピンク色は褪色して、買ったときの色とは似ても似つかないものになってしまいます。

エメラルドはサラダ油で
p49-p51
 欠点のあるエメラルドを色濃く見せるためにどうするかというと……答えは「エメラルドの原石を植物油に浸けること」です。サラダ油を含ませると色が格段によくなり……「油性含浸あり」と記すべきです。

 クレオパトラが愛したエメラルドもすでにオイル含浸されているということが、紀元頃に書かれた「プリニウスの博物誌」に記載されているように、古くから一般的に行われてきています。最近になってやり始めたわけではありません。

 エメラルドの含浸に使われるのはサラダ油ではありません。サラダ油でしたら、すぐに流れ出て手に付いてしまうから、買った人はすぐにおかしいと気がつきますし、サラダ油(大豆)ですと屈折率が1.471〜1.475でガラスの屈折率1.480に近く、エメラルド(屈折率1.571〜1.575)に入れてもインクルージョンを見えにくくする効果はありません。

 正しくはツェーデル油(Ceder Oil, セダーオイルあるいはシーダーオイルとも呼ばれます)です。これは乾性油で、時間が経つと固形化するのでほとんど流れ出したりしません。ツェーデル油の屈折率は1.515でエメラルドの屈折率に近いのでインクルージョンが分からなくなります。しかし近年ではツェーデル油に代わってエポキシ樹脂が使われています。これも時間が経つと固形化します。

 なぜこのような処理が行われるかについては、このホームページのコラム「エメラルドに関する3つのなぜ?」をお読み下さい。
これらの処理については、エメラルドの主要生産国であるコロンビアが制作しているプロモーションビデオやパンフレットにおいても、加工過程の1つとしてきちんと表示されています。

 なお、この本の帯に「"着色"されていた」と書かれていますが、緑色の染料を入れているわけではありません。無色の乾性油あるいはエポキシ樹脂を使用しています。著者の指摘するような油性含浸ばかりでなくエポキシ含浸もありますので、鑑別書には「透明度の改善を目的とした無色透明材の含浸が行われています」ときちんと表示されています。万一染料が入っていれば「色素による着色処理が行われています」と記載されます。

ルビーの燃えるような赤
p51-p53
 ルビーとサファイアにおける「整形」の方法は加熱処理です。……きちんと情報公開をすればいいのです。
これも鑑別書のコメント欄に「色の改善を目的とした加熱が行われています」ときちんと表記されています。

 以上でお分かりのように、著者が懸念されている宝石処理の情報公開は鑑別書のコメント表記という形で既に実現しています。しかし宝石店でも鑑別書に書いてあるから説明しなくて良いという態度ではなく、積極的に説明するようにしなければならないと思います。さらに進んで、先進的な一部の小売店では既に実施されていますが、値札や保証書などにもたとえば「エメラルド(含浸)」「ルビー(加熱)」というように表示していくべきだと考えています。

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