今秋、パール展が国立科学博物館で開催 2005年8月24日
 10月8日から来年1月22日まで、50万粒の真珠を一挙に公開するとして、東京・上野公園の国立科学博物館で「パール」展−その輝きのすべて−が開催される。
この展示会は、ニューヨーク・アメリカ自然史博物館が、シカゴ・フィールド博物館と共同で企画した世界巡回展で、日本では初公開。日本での開催後はロンドンなどを巡回する予定。また、日本のオリジナル特別企画として「日本の真珠」を展開する。
 展示構成は7章に分かれていて、「はじめに」「真珠とは?」「真珠の世界」「海の真珠〜」「淡水真珠」「真珠の採取と養殖〜」「人類史の中の真珠」となっている。
 オードリー・ヘップバーンのネックレス、マリリン・モンローのネックレスなど、話題を呼びそうな作品が展示される。
 入場料は一般・大学生が1300円、小・中・高校生が600円。なお、当社店頭に100円割引券が置いてありますので、ご自由にお持ち下さい。

宝石輸入価格が高騰 2005年8月6日
 多くの宝石輸入業者からの話を総合すると、今年はじめから宝石の現地価格が高騰している。特に高くなっているのが、ブラジル産の各種色石とコロンビア産のエメラルドで、昨年同時期と比較すると、共に2倍以上になっている。
 エメラルド輸入業者はコロンビアに行っても、日本国内での販売価格を考えると1万ドルくらいしか買えず、出張経費もでない有様だということだ。
 ダイヤモンドもじりじりと値を上げている。特に1カラット以上の、いわゆる大粒石の値上がりが著しい。国内で苦労して売るよりは、アメリカへ持っていった方が、すぐに高く売れるということで、インド人業者などが日本国内で仕入攻勢に出ているため、国内市場には在庫不足感が増している。
 宝石価格の上昇も、原油や貴金属地金の高騰を受けたもので、基本的には中国、インドなど新興国群の需要増加と、ドルに対する信任低下の現れと言える。加えて、日本ではようやく不動産価格が上昇の兆しを見せており、人民元の切り上げによる輸入価格の上昇も予想されるなど、長く続いたデフレから、一転してインフレ傾向になりつつある。
 このため、今秋からは国内でも、ダイヤモンド、色石とも値上がりが予想される。

GIAがカットの総合評価を導入 AGLの対応に注目  2005年6月23日
 6月15日東京・東上野のオーラムビルで、GIAのトーマス・モーゼス氏が講演を行い、GIAが導入するダイヤモンド・カット・グレーディング・システムについて説明した。
 講演の項目は、最新の調査、システムの概要、グレード・カテゴリーの例、参照システムとソフトウェア、GIAレポートの変更、システムのもたらす利益、スケジュールなどであった。内容は次の通り。
 GIAでは、ラウンド・ブリリアント・カットの総合評価としてExcellent、Very Good、Good、Fair、Poorの5段階評価を実施する。
 このシステムを完成させるために、15年にも亘って、ダイヤモンドのブライトネス、ファイア、シンティレーション、デザイン、クラフトマンシップという5つの点から、カットの良否を肉眼による観察と実際の取引の状況とを何度もフィードバックを繰り返してテストしてきた。その結果、カット品質は正面から見た外見とその他の要因とに分けられる。正面から見た外見は、ブライトネス、ファイア、シンティレーションの3つに分けられる。その他の要因としてはデザイン(重量比と耐久性)とクラフトマンシップ(研磨の状態と対称性)がある。
正面から見た外見を決定するのは、全体の深さ、テーブル・サイズ、クラウン角度、クラウンの高さ、スターの長さ、パビリオン角度、パビリオンの深さ、ガードルの下半分、ガードルの厚さ、キューレットの大きさである。
 こうした要因をパターン化して3850万通りにも分類し、その一つ一つについて5段階評価を行った。ダイヤの計測のためにはサリンまたはオギという機器の導入が必要であり、その中にGIAがパターン化したシステムをソフトウェアとして組み込む。これによって、ダイヤを計測機器にかければ、カットの総合評価が出てくる。
 モーゼス氏の説明を聞いてみると、日本の現在のカット評価は数値によって、きちんとカット評価できるのだが、GIAではこの部分がブラックボックスになって、機器にかけると自動的に結果がでてくると言うだけで、本当に正しいかどうか、ソフトにバグがないのか分からない。
 しかしながら、GIAが評価システムを導入する以上、GIA準拠を謳ってきた宝石鑑別団体協議会(AGL)は現在の日本システムからの変更を余儀なくされるだろう。
 問題はカットを評価する機器が高額な点だ、数年来、コランダム、HPHTダイヤなどを鑑別するために高額な鑑別機器を導入しなければならなくなっているが、対応できている鑑別会社は数社にすぎない現状を考えると、いつまでに新システムに切り替えるか、問題が多い。
 ただ、AGL会長でもあるAGTジェムラボラトリーの土居理事長は、会場からの質問に答えて、AGTとしてはGIAの実施に合わせて日本でも新システムに転換することを表明した。
 このことから考えると、AGLが追随するのは間違いないだろうが、いつまでを移行期間にするかが論議の焦点になるだろう。

Newsweek日本版でも合成ダイヤを特集 2005年3月18日
 3月16日発売のNewsweek日本版でも、表紙には「ダイヤモンド暴落危機」、本文では「あなたのダイヤは本物ですか?天然ダイヤモンドと見分けがつかない人工宝石が閉鎖的な市場を震撼させている」と題して、合成ダイヤの製造方法を詳しく解説し、合成ダイヤの出現で価格が暴落するのではないか。デビアスは、その事態に備える準備をしているという記事を掲載している。
 合成宝石としては既にエメラルド、サファイア、ルビー、オパールなどで、京セラがイナモリ・ストーンとして熱心に販売に取り組んでいるが、市場には浸透していない。Newsweekの記事には書かれていないが、日本でも住友電工が数年前にカラーダイヤの開発に成功しているが、市場調査を行った結果、自力での市場参入を断念して、結局合成石で有名なチャザム社に販売を委託している。
 合成石は、宝石の定義の一つである「稀少性」にかけるため、幾ら安くても、消費者にとって受入れられないのではないだろうか。

Newsweek誌が合成ダイヤを特集 2005年2月10日
 2月8日発売のNewsweek英語版では、ダイヤモンド指輪を表紙にして、「リアルな模造品」と題したカバーストーリーで合成ダイヤをセンセーショナルに扱っている。
 カバーストーリーの惹句では「ダイヤモンドは永遠である。しかし600億ドルのダイヤモンドジュエリー産業はそうならないだろう。最新のテクノロジーのおかげで、これらの宝石の人工バージョンが、今や本物と区別できなくなっている。ニューズウィークは合成石の出現を突き止め、世界のダイヤモンド市場が直面している脅威を検証する。」としている。
 記事では、合成ダイヤモンドを宝石店に見てもらったところ、本物のダイヤだと言われたが、それを鑑別会社で鑑別してもらうと合成石だったという内容だ。
 この記事だけを読むと、消費者が知らないうちに合成ダイヤを買わされてしまうように感じられるが、実際はどうだろう。
 日本では、少なくとも小売価格10万円以上のジュエリーについてはほとんど鑑別書なり鑑定書が付けられている。だからその鑑別会社がきちんと鑑別できるかどうかが問われることになる。日本の有力鑑別会社に問い合わせたところ「当社では十分な設備とノウハウを持っているので天然か合成か100%鑑別できる」と断言した。念のため他社でも鑑別できるのかどうか尋ねてみると、「鑑別設備が高価なので設置できない鑑別会社は、少しでも怪しいと思った石については、当社など設備の整ったところに再鑑別を依頼してくるので、事実上すべてのダイヤについて鑑別できている」とのことだ。








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